いつか、どこかの私へ

軽やかに自由に、生き方について考えたり遊んだり。

ジョンヒョンのニュースから得るもの

それは普通の月曜日でした。

 

私はお笑いファンでもありますが、2人になってから東方神起にハマり、過去も含めて大好きな、いわゆるトンペン(東方神起ファンの総称、bigeastとも言う)でもあります。次の日は日本テレビ『スッキリ!』に東方神起が生出演するとあって、ちょっとだけ浮かれてその日を過ごしていました。

 

「ジョンヒョン死んだってマジなのか」

 

疎遠になっていたトンペン友達とのグループLINEが鳴りました。

 

ジョンヒョン、SHINeeの、ジョンヒョン?あの、元気そうな、なんかバスケ部とかに居そうな、体育会系そうな、練習生の時ちょっとダサめでかわいかった、あの、素晴らしいボーカルの…?

 

正直、彼のことは深く知りませんし、ライブに行ったこともありません。けれどアルバムを聞いたり、所属事務所のライブSMタウンのライブビューイングで彼の、彼らのパフォーマンスを見ることがありました。

 

コンテンポラリーな、他を圧倒するダンスとボーカルパフォーマンス、繊細で表現力豊かなバラード、かと思えば話す日本語はかわいらしくメンバーも仲良くほんわかとして。

 

SМタウンでしか見ないけど、これからも見れると、SHINeeが、歌い踊るジョンヒョンが見れるのは当たり前のことでした。そう思い込んでいました。そうではなかったのに。

 

お姉さんによると、うつ病を患っていたらしいジョンヒョン。脇腹にはうつ病患者であるという意味の黒い犬のタトゥーがあったとか。彼の目の前の無数の選択肢はあの時、ひとつしか見えなくなってしまったのかもしれません。責めたくもないですし、怒ったりもしません。憐れむことも違う気がします。

 

よく頑張って今まで生きて来てくれた。27年よく生きてくれた。素晴らしいステージを見せてくれた。笑顔を見せてくれた。あなたは27年で死んでしまったのではなく、27年も生きてくれたんだ。ありがとう。疲れたでしょう、しばらくゆっくり休んでください。

 

私もかつて、黒い犬に支配されて毎日東日本大震災の時のような得も言われぬ不安に襲われていた時があります。今でもその黒い犬は居るのですが、一応リードを付けて、コントロールしながら飼っている状態です。

 

そして、弟を亡くした姉でもあります。弟は自殺ではないですが、持病を持ち、またその状態が思わしくなく、なのにすこぶる明るい子でした。その日も最近の症状について相談しに病院に行こうと、母が彼の部屋を開けたときには亡くなっていたので、持病とはいえ所謂突然死でした。というか、あまりの突然の別れで解剖を希望しなかったので、死因は分かっても原因は良くわからないといったところですが…(ちなみに事件性はないです)

 

幼馴染のお母さんや、幼いころからお世話になった料理店の板前さんなど、ここ数年自ら死を選ぶ人を目にして、やはり生きたくても生きることが出来なかった弟を持つ姉としては複雑な思いがありますが、同時に黒い犬を飼う当事者としては次々襲い掛かる恐怖に耐え続けることがどんなことか、知っているだけにやるせない思いがします。

 

選択肢を提示された時、パニックに陥ると、生きるか死ぬかその二つしか、もしくは後者ひとつしか見えなくなる時があります。

 

LINEやメールや電話や、口頭でも、すぐに返事をしなくていいです。すぐに決めなくていいです。考えさせてください、とか、無視でもいいです。一旦はい、と言ってから断ってもいいです。バックレてもいいです。

 

生きるためなら何をしてもいいです。

 

死んだように生きてもいいです。

 

何も出来ないカッコ悪いろくでなしでも生きていてほしいです。世の中は広いから、そのろくでなしを見て癒されたり、面白がってくれたり、愛してくれる人が居ます。必ず。

 

テレビやニュースで見る英雄にならなくていいから、歴史に名を残さなくていいから、終わるまで生きてほしいです。ちゃんと終わります。あっという間に。

 

持っていないもの、出来ないこと、嫌なことは数えたらきりがないから、持っているもの、出来ること、好きなことを数えましょう。

 

これは誰かに伝えることもそうだし、自分自身にも伝えたいです。生きよう。そして出来れば、楽しもう。

 

怒られたら、ごめんなさいね、と言い、褒められたら、うれしい!と言って、困ったら、助けて!と、嫌なことは嫌、と言って、やりたいことはやって、生きていこう。

 

死を考えることは生を考えること。ジョンヒョン、ありがとう。特別な月曜日を越えて、特別な一生を生きていきます。またいつか、向こうであなたのパフォーマンスが観れると信じて。